photo オウムガイ
太古〜現代 ゆらゆらと

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 ニューギニア島(パプアニューギニア)の最東端にあるミルン湾周辺の海底で、オウムガイを撮影するため船に乗り込んだ。秘境の旅が始まる。
 ミルン湾の大きさは東京湾とほぼ同じ。三方は高い山で囲まれている。雨期に降る大量の雨が、豊富な養分を湾へと流し込み、多様な生物の命の営みを支えている。
 深海に生息するオウムガイを撮影するためには、わなを仕掛ける。2日後、水深200メートルに仕掛けた箱を引き上げると、その中でゆらゆらと泳いでいた。
 学名ノーチラス。ジュール・ベルヌの冒険小説に出てくる潜水艦の名前として世界的に有名だ。
 太古と現代を結ぶ海の住人は、約4〜5億年前からその原始的な姿を変えず、私の目の前にいる。
 我々を不思議そうに見に来る地元の人々のカヌーが行ったり来たり。穏やかな時間が過ぎていった。