ハーフムーンフィッシュ 海を行き交う半月 紅海(エジプト)などに生息するキンチャクダイの仲間に、月にまつわる魚がいる。 ハーフムーンフィッシュだ。紺ぺきの体に、黄色の月の形がはっきり残されている。 この魚は、水槽などで飼育すると、他の魚にもいじめられるほど小心で、いつもサンゴや岩などに隠れている。 月の砂漠・中東の海の中は、9月から最も美しくなっていく。日本では月見の季節である。 アラブの海を照らした月は、その海のあまりの美しさにしっとして、泳ぐ魚の体に自分の姿を半分残したといわれる。 月はいつでも、好きなだけこのアラブの海の中にいることができた。 月の忘れ形見を背負って泳ぐ魚。ハーフムーンとは、ほかの魚たちもしっとしそうな、すてきなネーミングである。 |